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立正佼成会附属佼成病院裁判・第4回口頭弁論

立正佼成会附属佼成病院裁判・第4回口頭弁論が2015年5月27日、東京地方裁判所610法廷で開かれた(平成26年(ワ)第25447号・損害賠償事件)。母の治療を十分に行わなかったとして、長女が長男夫婦と病院経営組織の立正佼成会に損害賠償を求めた訴訟である。

長男夫婦の独断による治療拒否によって、入院から僅か83日で、命を絶たれた。頻繁に見舞いに通院していた長女にも治療中止の決定は説明されなかった。「命」と「権利」への侵害として長男夫婦と病院を一緒に訴えた事件である。患者の命の自己決定権の裁判である。人間の命は平等であり、年齢、健康体、罹病体の隔てなく何人も侵すことのできない絶対的権利である。

口頭弁論では原告と被告病院は準備書面を陳述した。原告準備書面は「医師の事前の許可すら得ることなく、自己の判断で、経管栄養の流入速度を変更した被告長男の行為は、その流入速度の変更の程度にかかわらず、極めて違法性が高い行為であることは明らか」と主張している。

裁判長「原告提出証拠のカルテには看護記録が含まれているが、被告提出証拠にはない。その時の状況がどうだったかが問題になる。看護記録を証拠として提出できないか」

立正佼成会代理人・安田修弁護士「原本は廃棄済みである。被告提出証拠は原告提出証拠を再現したものである。専門用語に翻訳を入れたが、看護記録は専門用語が少ない」

原告代理人・萩尾健太弁護士「原告証拠は被告長男夫婦が提示したものである。被告長男側でお持ちになっていないか」

被告長男夫婦代理人・松木隆佳弁護士「病院から謄写した」

裁判長「被告で訳文を付けたものを提出しなくていいか。被告間で相談して提出して下さい」

原告代理人「被告側であるものは漏れなく出していただけた方がありがたい」

被告長男夫婦代理人「本人の自宅に残っていないか確認する。一週間あればできる」

裁判長「診療経過一覧表はなくてもいいと思っていたが、必要と思いましたので、作成する準備に入っていただけたら」

立正佼成会代理人「一覧表は作成しており、医師が添削するだけの状態である。画像があればなおいい」

裁判長「(原告に対して)経管栄養の流入速度を速めたことと延命治療の拒否の二つの行為は別々か。平成19年7月27日以前と8月15日の複数回、経管栄養の流入速度を速めたと主張するが、それらは一連の不法行為か別々のものか。それを明確にして下さい。選択型になるか。原告の損害論の関係をどう捉えるか。相当程度の可能性をどちらで主張しているか。明確にしていただきたい。

(被告に対して)事実関係について反論して下さい。立正佼成会の準備書面は骨子的なものであるため、事実に対して反論して欲しい」

次回は2015年7月15日である。法廷が変わり、703号法廷である。準備書面送付の締め切りは7月8日とされた。



口頭弁論後は報告集会が行われた。原告代理人は「経管栄養の開始終了時刻をカルテに明確に書いていない。記録していないならば、それはそれで問題である」と指摘した。この点は原告準備書面でも以下のように述べている。

「経管栄養にあたっては、もっとも考え得るリスクである誤嚥を防止するため、医師が看護師に対して栄養剤の量・流入速度等につき適切な指示をなし、看護師はそれを実施し、医師に報告すべき義務を負う。当然被告法人においても、経管栄養の流入速度について、そのときどきの母の病状等に応じて、看護師に対し上記の事項について具体的な指示がなされていたはずであり、看護師も、経管栄養の開始・終了時刻について記録を取っていたはずである」

また、原告代理人は「経管栄養の流入速度を速める行為は一回でも危険である」とも説明した。

原告は「命の自己決定権が害されたことが問題」と主張した。病院は治療を拒否した相手に相続が絡んでいないか気にしなければならない。病院は家族全員の同意を得なくていいと言ったが、そうではないと主張していく。

準備書面でも以下の論文を引用している。「推定相続人であるような家族は、本人の生命に関するような判断では、本人と利益が相反することもあり、常に本人の意思についての最善の理解者とはいえない」(稲葉一人「医療における意思決定・・・ 終末期における患者・家族・代理人・・・」『医療・生命と倫理・社会』Vo1.2 No.2、2003年)。

傍聴者からは「生産活動に寄与しない高齢者を切り捨てる傾向が出ていることを見据えなければならない」との意見が出た。以下の意見も寄せられた。「病院に記録がないならば、病院のルールとして通常どうやっているかを聞きたい。病院は故意にやったのか、おざなりになったのか。亡くなる状態ではなかったと書かれていた。亡くなる直前の出来事を述べていくべきではないか」

以下は感想である。「病院は治療を拒否した相手に相続が絡んでいないか気にしなければならない」との主張は病院の置かれた経済的状況を考慮すると一層重要になる。現在の医療システムでは長期患者を抱えるよりも短期患者を回転させた方が病院の経営上は都合がいい。つまり病院にも治療拒否の利害関係もある。だからこそ治療拒否の判断には厳格さが求められる。



立正佼成会附属佼成病院裁判・第4回口頭弁論の報告集会では他の裁判も紹介された。専修大学労災解雇撤回裁判の最高裁判決言い渡しと報告集会がある。最高裁判決は2015年6月8日午後2時20分抽選予定。傍聴は3時からである。報告集会は3時半から参議院会館会議室を予定している。

東京労組文京七中分会は6月25日に東京都交渉・記者会見を行う。12時半に都庁第二庁舎1階ロビー中央集合である。東京都はブラック労働の巣窟と批判する。

新運転・事故防ピンハネ返せ請求訴訟の第5回口頭弁論は7月16日(木)午後1時30分から東京地裁527号法廷で開催される。立正佼成会附属佼成病院裁判原告は「清掃労働者の無権利状態を知らなかった、知ったからには応援する」と語った。

年金解雇訴訟は最高裁に上告した。上告人は以下のように語る。ブラック企業が社会問題になっているが、ブラック労働組合も問題である。分断される原因になっている。

第4回口頭弁論原告主張まとめ

【本件における不法行為ないし債務不履行のまとめ】

1.被告Tによる母の経管栄養の流入速度を速めた行為とそれに対する被告法人の注意義務違反。

(1)経管栄養とは、医師・看護師以外のものが実施する場合、厳格な要件のもとにおいてのみ許される、危険が伴う医療行為である。

医師の承諾もないまま、医師資格等を持たない被告Tがその流入速度を変更する行為は、違法である。

(2)経管栄養に関する被告法人が負う注意義務

医師(医療機関)は、患者の治療に関し「患者の病状に十分注意し、その治療方法の内容及び程度等については、診療当時の医学的知識に基づきその効果と副作用など全ての事情を考慮し、万全の注意を払って、その治療を実施しなければならない」(最判昭和44.2.6・民集23巻2号195頁)。栄養剤の量・流入速度の誤りやチューブの誤挿入など、経管栄養が不適切な方法で実施されると、誤嚥や下痢といった副作用が生じる危険が高い。とりわけ、経管栄養を原因とする「合併症として最も危険なのは嘔吐の際の誤嚥」(甲B3)とされる。



2.被告T及び被告Mによる母の延命治療を断った行為と被告法人の必要な延命措置をとらなかった行為の義務違反。

(1) 被告T・Mらの行為の違法性

(ア)母は意識がある。それにもかかわらず、本人の意思を確認しないまま延命治療を拒否したのは母の自己決定権の侵害であり、その違法性は明らかである。

(イ)また、被告Tらは、親族代表として母の医療について意見をする以上は、仮に母自身は延命措置についての意思表明が極めて困難である場合にも、頻繁に来院していた原告を含む家族の意思を確認すべきであったが、それをせずに延命措置を拒否したことは、母の生命保持及び家族等の協力と配慮を得る利益を侵害するものであり違法である。

さらに、延命治療の拒否は患者本人の意思の推定のもとでされるべきところ、被告内山らは「介護は地獄」などという動機で延命治療を拒否したという点でも違法性が高い。

(2)被告法人の債務不履行について

ア 延命措置に関する被告法人が負う注意義務

被告法人は、患者の意思確認ができる場合は、平成19年5月以降の臨床医学の実践における医療水準を示す終末期医療ガイドラインに基づき(乙B1の1・2枚目)、延命措置について、栄養補給のための点滴(「食事」である)を中止するか否かや、酸素吸入中止(呼吸困難時には苦しみを伴う)をするか否かについて、母にそのリスクも含めて説明をし、その意思決定を得る義務があった。

すなわち、患者7人が人工呼吸器を外され死亡した射水市民病院では、麻野井英次院長が事件後に看護師達に以下のように語っている。

「呼吸器を外すことがいかに残酷な行為であるか。人間息ができないことほど苦しい状況はない。水におぼれる状態を想像してほしい。せめて心臓が動いている間くらいは酸素を送ってあげよう。生命活動を支える最も重要な物質である酸素だけは命のつきるまでは送り続けよう。あとわずかの時間を、出来る限り患者の尊厳を保つよう心を込めてケアしながら、大切に見守ろう。命の灯が自然に消えるのを一緒に待とうと家族を説得してほしい。どうせ死ぬ、助からないだからといってわたしたちが死ぬ時間を決めてよいのでしょうか」(甲B6、中島みち『尊厳死に尊厳はあるか ある呼吸器外し事件から』岩波書店、2007年、119頁)

医師による家族への説明義務は、最判平成14年9月24日・判時1803号28頁が詳しい。

「患者が末期的疾患に罹患し余命が限られている旨の診断をした医師が患者本人にはその旨を告知すべきではないと判断した場合には、患者本人やその家族にとってのその診断結果の重大性に照らすと、当該医師は、診療契約に付随する義務として、少なくとも、患者の家族らのうち連絡が容易な者に対しては接触し、同人又は同人を介して更に接触できた家族等に対する告知の適否を検討し、告知が適当であると判断できたときには、その診断結果等を説明すべき義務を負うものといわなければならない。なぜならば、このようにして告知を受けた家族等の側では、医師側の治療方針を理解した上で、物心両面において患者の治療を支え、また、患者の余命がより安らかで充実したものとなるように家族等としてのできる限りの手厚い配慮をすることができることになり、適時の告知によって行われるであろうこのような家族等の協力と配慮は、患者本人にとって法的保護に値する利益であるというべきであるからである」

この判決では、家族の一人に接触して説明義務を充足させてはいない。一人の家族を通じて更に接触できた人々から適切な人を選択して説明すべき義務を負わせている。一般に家族に説明し、家族が意思決定する理由は家族が本人の意思をもっともよく知っている立場にあるからとされる。

これに対して以下の指摘がある。「推定相続人であるような家族は、本人の生命に関するような判断では、本人と利益が相反することもあり、常に本人の意思についての最善の理解者とはいえない」(稲葉一人「医療における意思決定・・・ 終末期における患者・家族・代理人・・・」『医療・生命と倫理・社会』Vo1.2 No.2、2003年)。このために医師に適切な家族等への説明義務を負わせる意味がある。



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