高齢者治療中止裁判

立正佼成会附属佼成病院裁判

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立正佼成会附属佼成病院医師が誤診を証言、多剤耐性緑膿菌を主張

立正佼成会附属佼成病院裁判の証人尋問で死亡した患者を治療した佼成病院医師が、カルテ記載内容は誤診であり、患者の死因が多剤耐性緑膿菌の院内感染であると証言した。入院患者の死因についてカルテでは誤嚥性肺炎、敗血症、多機能不全と書いてあるが、そのカルテを書いた医師が証人尋問では誤診であり、多剤耐性緑膿菌の院内感染であると証言した。

立正佼成会附属佼成病院裁判(平成26年(ワ)第25447号 損害賠償請求事件)は治療中の患者に対し、酸素マスクすらつけず、死に至らせたとして、患者の娘が病院経営団体の立正佼成会と兄夫婦(長男夫婦)を相手に提起した裁判である。「誤診」証言は以下の通り(佼成病院医師証人調書21頁以下)。院内感染を軽視して誤診するという重大な問題である。

立正佼成会代理人・安田修弁護士「病歴要約ですが、これの真ん中あたりのところなんですけれども、本件患者さんの死に至る機序について書かれているんですけれども、ここには、誤嚥性肺炎、敗血症、それから多機能不全というふうに進んだように書かれているんですけれども、これを今お読みになってみてどうでしょう」

佼成病院医師「じっくり検証した今の値では、ちょっと間違っていたかなと、誤診だったかなと思います」

その上で佼成病院医師は死因を院内感染に求めた。「多剤耐性緑膿菌、大変厄介な菌で、はっきりとデータに残っている証拠というのはそこですので、実際には尿路感染症、慢性に、治りきらずにきていて、耐性菌まで出てて、全身状態が悪くなってきたので敗血症に、要するに体側のバリアが破られて敗血症になったというストーリーが一番正解に近いかなと今では思っています」(佼成病院医師証人調書25頁)

口頭弁論終了後に傍聴者から「主治医が『誤診だった』と平然と言ったことに本当に驚いた」との感想が寄せられた。多剤耐性緑膿菌は単なる緑膿菌と異なる重大な問題である。普通の緑膿菌は日常環境に生息しているが、多剤耐性緑膿菌は日常的に抗菌薬を使用しているところ、即ち病院などにのみ分布するものだからである。

患者の免疫力が落ちていたから感染したということは理由にならない。以下の批判のとおりである。「病院には、免疫力の落ちた人、感染しやすい新生児・乳幼児や高齢者など様々な患者さんが来ます。病院は感染を第一に気をつけなければならない」(「院内感染の徹底した原因究明と再発防止をおこなえ」全関東単一労働組合松戸市立病院分会「ききみみすきん」198号、2011年12月19日)。

佼成病院医師の誤診証言が立正佼成会代理人の主尋問で出てきたことは問題である。原告側はカルテ記載の死因に基づいて佼成病院の責任を追及してきた。それで都合が悪くなるとカルテ記載を誤診として別の死因を持ち出すならば卑怯な後付けに見える。立正佼成会と代理人の関係は以下で述べられている舛添要一前都知事と佐々木善三弁護士の関係に重なる。

「まあ人間は自分と似た価値観を持つ人間を好むものなので、世間を敵に回すような言動が得意な人は、同じような人を弁護士として選んだのかもしれない」(「もしサンデル教授が「これからの舛添問題の話」をしたら?」ダイヤモンド・オンライン2016年6月14日)

立正佼成会附属佼成病院裁判・第10回口頭弁論

立正佼成会附属佼成病院裁判・第10回口頭弁論が2016年6月1日(水)に東京地方裁判所610法廷で開かれた。口頭弁論では佼成病院医師(主治医)の証人尋問、原告の当事者尋問、被告長男の当事者尋問が行われた。法廷に入りきれないほど大勢の方が傍聴した。

佼成病院医師は治療方針をキーパーソンとしか相談していないとも証言した。「キーパーソンさんを通して、主に話させていただきました。ご長男ですね」(佼成病院医師証人調書18頁)。家族の意見を聞くことをしていない。キーパーソンが家族の総意を集約すれば良いという論理であるが、既に原告は準備書面で以下の論文を引用して反論している。

「推定相続人であるような家族は、本人の生命に関するような判断では、本人と利益が相反することもあり、常に本人の意思についての最善の理解者とはいえない」(稲葉一人「医療における意思決定・・・ 終末期における患者・家族・代理人・・・」『医療・生命と倫理・社会』Vo1.2 No.2、2003年)。

以下は傍聴者の感想である。カルテと被告長男の主張が矛盾している。その程度の意思確認であった。スーパーナチュラルという話を初めて聞いた。心肺蘇生もしない。緩和ケアと区別がない。説明が不十分である。この病院にはかかりたくない。原告へのコミュニケーションはしていない。病院が管理していない。延命措置の種類を説明していない。リスクや負担も含めて説明していない。

次回期日は2016年9月8日(木)10時から東京地裁610号法廷で開かれる。人は誰でも安らかな生と死を望む。その事情は一人一人異なる。少しでも長く生きたいと希望する患者には、苦痛緩和の手を尽くして残された余生を充実して生きられるように援助する。患者が生命を放棄していないのなら、たとえ身内であっても他者による「死」は、なされてはならない。

医療は、患者の幸せのためにある。千葉市内の病院で起きた医療事故の調査委員長を務めた三井記念病院の高木真一院長は「患者のために最良の方策は何か考えるのが医師の使命。それが今、見失われていないか」と語っている。日本の医療裁判は、事故やミスよりも医師の怠慢や杜撰さを原因とするものが多い。被害者が声をあげなければ何も変わらない。



立正佼成会附属佼成病院裁判・証人尋問は持ち時間制

立正佼成会附属佼成病院裁判の当事者尋問と証人尋問(第10回口頭弁論)が2016年6月1日(水)午後1時10分から東京地方裁判所610法廷で開催される。治療中の母親に対し、酸素マスクすらつけず、死に至らせたとして、兄夫婦(長男夫婦)と立正佼成会附属佼成病院の経営主体である立正佼成会を相手に提起した裁判である。

誰でも安らかな死を望んでいると思われるが、人は、一人一人異なり、終末期医療のあり方は、実際にはかなり複雑で多様である。高齢化社会になって避けて通ることのできない高齢者医療裁判の証人尋問である。

尋問は被告病院担当主治医、原告本人、被告長男の順で実施される。尋問の特徴は持ち時間制となったことである。それぞれの弁護士は全尋問者の主尋問と反対尋問を持ち時間の中でやりくりする。

・立正佼成会代理人・安田修弁護士の持ち時間60分

・原告代理人・高橋右京弁護士、萩尾健太弁護士の持ち時間85分

・被告長男夫婦代理人弁護士・松木隆佳弁護士の持ち時間50分

通常は尋問対象者毎に時間を設定する。たとえば原告本人尋問60分のような形である。これに対して持ち時間制は特定の尋問者を重点的に質問したいという戦略的な時間配分が可能になる。一方で持ち時間が尽きれば尋問できなくなるため、時間内に必ず終わらせたいという訴訟進行上の都合という面がある。

高齢者の命の尊厳を訴えた裁判

高齢化社会になって避けて通れない終末期医療の裁判の証人尋問が行われます。
平成26年 第25447号 損害賠償事件

脳梗塞で入院していた原告の母は、リハビリをするまでに回復しましたが、兄夫婦の治療拒否によって酸素マスクもされず死に至らしめられました。

私(原告)は、病院提出のカルテを見るまで母の治療が中止されたとは知りませんでした。患者本人が生命を放棄していないのに、入院から83日で命を絶たれた母親の「命の自己決定権」を侵害されたとして、独断で治療を拒否した兄と兄嫁と、安易に治療を中止した病院(立正佼成会附属佼成病院の経営母体である立正佼成会)を長女が訴えた裁判です。

本件の裁判を起こすきっかけとなったのが、『終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン』(厚生労働省:平成19年5月)です。ガイドラインには、治療を中止するにあたっての手続きが書かれています。

ガイドラインが出来る以前は、家族の要請があれば治療が中止され高齢患者は、ひそやかに死んでいました。今までは公表されない、裁判にならないだけのことです。

生死の思いは高齢者一人一人違うのですし、家族のなかでも寝たきりでもいいから生きていてほしいと思う人や、死んだ方がいいと思う人などそれぞれ事情が違うと思います。

自ら訴えることのできない患者を保護するのは誰なのか。死ぬがままにされている恐怖は・・尊厳のかけらもない「姥捨て」ではないのでしょうか。
母は89歳でした。たとえ生きたとしてもあとわずかな余生です。そばにいて親孝行したかったです。

一人の人間をこの世から消そうとする命のやり取りの重大な問題は、慎重に協議して責任を持って書面にとどめておく必要があります。

母が亡くなったのが平成19年9月です。母の死の決定は、ガイドラインに沿って適正になされたのか、治療には最善の利益が尽くされたのかを争っています。ガイドラインを基にした裁判は、本件が初めてと言われています。

2016年6月1日(水)13:10〜 東京地裁610法廷(6階)霞ヶ関A1出口1分
@ 被告病院担当主治医の尋問 
A 原告当事者尋問
B 被告(兄)当事者尋問
当日の証人尋問はこの順番で行われます。
高齢者の命の尊厳を守る重大な裁判は世間の関心ごとです。傍聴していただければ幸いです。


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