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大自然の息吹を体感しようということで、カナダへ行く事にしました。カナダの紅葉を観に東部を訪れた時の添乗員の方に、
「カナディアンロッキーの一番美しい季節はいつでしょう?」
と質問をしたことがあり、
「もちろん、雪解けの季節です。湖の氷が解け始めた頃が、私は一番好きです」
と教えていただきました。
そういうわけで5月末から6月初めにかけて、バンクーバー経由でカナディアンロッキーに行きました。
バンクーバーは港町です。バンクーバーの6月は花の季節でした。街路樹は花々に彩られていました。
町の顔は二種類に分かれていました。一つは、旅行者が見たい、美しいカナダの町。あと一つは、近代的?なコンクリートと金属とガラスで出来たイマドキの町です。
バンクーバーの市内観光ではギャスタウン、チャイナタウン、ロブソン通りなどを見て周りました。
印象に残ったのは、スタンレーパークです。
日比谷公園の約25倍の広大な敷地で、周囲は10km程あるということです。
三方が海に接しているので、砂浜もヨットハーバーもあります。ダウンタウンのすぐ隣に手入れされた大自然がありました。
砂浜から対岸を見ると、近代的な建物群が蜃気楼のように見えました。
公園の中には大きな木がたくさんありました。
その昔、日本人の移民が、花嫁さん募集の「お見合い写真」を撮るときに、背景に使った樹だそうです。中はすっかり空洞になっていました。
トーテムポール広場には大きな極彩色の美しいトーテムポールが並んでいました。ネイティブカナディアンの作ったものです。
我が家が、衣食足りた日本からの観光客で、何も言う資格すら持ち合わせていないことは知っていながら、いつも思うのですが、先住民達はどの国でも、保護の美名のもとに囲われてしまっています。日本にしても、同じことをしていますし・・・。
戦う事、征服する事が人間の本能だとしても、悲しいなと思いました。
街を散歩しているとシアトル行きの大型バスがたくさんありました。
ガイドさんに尋ねると、バンクーバーからシアトルまでは1時間半位で、今日は野球の試合があるので、シアトルへ行く人が多いとのことでした。
いろいろ聞いていると、カナダとアメリカでは賃金の差が有り、シアトルに働きに行っている人もずいぶんあるそうです。
ほんのお隣でも、国境線の向こうとこちらでは違いがあるのです。どの国へ行っても感じます。「国境って何なのでしょうか」と。
綺麗な夕焼けになったので、夕日を見にマリーナへ行ってみました。
マリーナにはヨットがたくさん係留されていました。客船もたくさん出入りしていました。
港町は、なぜか旅情を感じさせてくれます。人が行き交い、そしてその殆んどの人が移動の途中であり、二度と会うこともない人々であるということが、旅情を煽るのでしょうか。
2日間滞在したホテルはフォーシーズンズ。
そこのロビーで観光パンフレットを発見しました。一週間のアラスカツアーです。5日間のツアーもありました。
氷河が海に崩れ落ちる先端まで行くそうです。ただ、夏のアラスカは蚊や蚋たちの天国だそうで、全身を包む防虫ネットが必需品とのことです。もちろんそれらはレンタルであるそうです。でも虫に刺されやすい私には無理そうで、残念でした。
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カルガリーを経由して、カナディアンロッキーのアルバータ州に着きました。
ユネスコ世界自然遺産のカナディアン・ロッキー山脈公園郡のバンフ国立公園・ヨーホー国立公園・ジャスパー国立公園を、通称「氷河ハイウェイ」と呼ばれる93号線、アイスフィールド・パークウェイ沿いを、バンフに営業所をもっている観光会社の乗用車で観光して廻りました。ドライバー兼ガイドさんが案内をして下さいました。
カナディアンロッキー山脈は、アルバータ州の西側に南北に延びる標高3,300m以上の荒々しい峰々がそびえ、地層のすじがクッキリと模様を浮き上がらせ、地殻変動によって出来た「地球のシワ」であることを如実に物語るような山脈でした。
バンフ国立公園は面積6641km2という、1885年にカナダ最初の国立公園として指定されたばかりではなく、アメリカのイエロー・ストーン、オーストラリアのロイヤルに次いで世界で3番目に古い国立公園として知られています。
バンフの町を中心に、ルイーズ湖、モレーン湖、ペイト湖、ボウ湖、アサバスカ氷河などの美しい湖や名峰が数多くあります。
ジャスパー国立公園はカナディアンロッキー最大の面積を誇る国立公園で、マリーン湖をはじめ、40もの湖があります
ヨーホー国立公園の「ヨーホー」とは先住民の言葉で「驚き」の意味だそうです。大自然への賛美なのでしょうか。またガイドさんによると真偽のほどは分かりませんが、私達が山へ行った時にコダマを聞きたくて「ヤッホー」と言いますが、この語源は、ここヨーホーから来ている言葉だそうです。宝石のように輝くエメラルド湖やナチュラルブリッジなど、大自然がきらめく微笑を投げかけているような美しさです。
国立公園の名前は、氷河ハイウェイ沿いに木で作られた看板に名前が彫られているだけで、きっちりとした境はありませんでした。
氷河ハイウェイには所々に道路横断歩道橋のような物が架かっています。
なにしろ広い土地ですから、町から町への移動手段は車しかありませんので、歩いている人は居ません。
不思議に思ってガイドさんに質問すると、この氷河ハイウェイで生態系を分断してしまった為に、動物達が行き交うための橋だということでした。道路際にも動物が道路に出ないように、延々とフェンスで仕切られていました。
日本でも、川の護岸工事など、自然を破壊する時には、魚道などを作ったりします。魚にとって、どれ程有効かどうかはわかりませんが、人間の発想は似通っていると思いました。
ガイドさんによれば、やはり交通事故にあう動物達はよくあるとのことでした。
コロンビア大氷原へのドライブです。
私達は氷河ハイウェーとほぼ平行に走っている旧道を主に走っていたので、動物達によく出会いました。
大きなヘラ鹿が道を塞いでいました。ドライバーはホーンも鳴らさずにじーっと待っています。
「どいてくれたら通らせてもらう」
と言います。
「そうですね、彼らの土地なのですよね」
毎年山火事が発生するのですが、ここカナダでは、消火はしないそうです。
自然に燃え尽きるまで燃やすそうです。それが自然のサイクルだからだそうです。そうしなければ、限定された木の森になってしまい、その木の寿命と共に森が消えてしまうとの事です。
「ここは、去年山火事だったところです」
と説明されたところは、一面柔らかそうな草に覆われていて・・・。二種類の松ぼっくりを見せてもらいました。一つは普通の松ぼっくり。もう一つは、何年もの間発芽せずに、火事があって表面が焼けた時だけ発芽するそうです。
自然の摂理の前には、ヒトの「おごり」など、たかが知れているのだなぁと思いました。火事の跡地の日当たりの良い草原の所々に、松の苗木があたかも植林されたように生えていました。
左手1・5km先にスパの看板を発見。早速質問。
「カナダにも温泉があるのですか?」
「あります。水着を着けてね」
「あぁ〜行って見たい」
「今日は寄っている時間は無いので、次回にでも」
残念でした。リサーチ不足をくやんでいました。
山の斜面に明るい茶色のグリスリーの親子3頭がいました。ガイドさんも今年始めて見たとのこと。冬眠から覚めて、タンポポを食べに来ていました。黒い熊はその後も何回か見ましたが、茶色の熊はあの時だけでした。
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コロンビア大氷原に到着しました。北極圏を除いて北半球の最大規模の氷原の1つの先端、アサバスカ氷河には雪上車で行きました。
雪上車のタイアの大きい事!こんなに大きなタイヤがどうして必要なのかは分かりませんでした。
狭い曲がりくねった急坂を下りると一面の氷原。すべての景色が、ハレーションを起こしたような眺めでした。
ガイドさんと一緒に氷上を散歩しました。
氷河の最先端は20cm程の溝になっていて、氷河が溶けた水が流れていました。以前はこの水でウィスキーをオンザロックにして飲むのが流行っていたそうですが、今は禁止されているそうです。
氷河の先端に立って仰ぎ見る氷河は、圧倒的なヴォリュームで迫ってきました。遠くに見えた氷河のクレバスは、エメラルドの輝きで、亀裂を神々しく装っていました。壮絶な美しさだと思いました。
その頃には私達も、雪と氷河の違いが分かる様になっていました。雪は白色なのですが、氷河には色があります。エメラルドの様な深い緑色からサファイアの様なブルー。そして赤みを帯びたものまで、降り積もった時間の圧力で、色が変化しています。遠くの山並みを見ても、氷河と雪は、はっきりと区別出来るようになりました。
カナディアンロッキーで滞在したホテルの名前は忘れましたが、バンフではなく、三姉妹山(スリーシスターズ)の麓の静かな町にありました。
3つの峰を持ち氷河を頂いた山は、朝日にも夕日にも美しく、気高く品格のある山でした。
滞在したホテルの裏に単線の線路がありました。めったに電車は通らないのですが、貨物列車が輸送の重要な部分を占めているお国柄で、アメリカからアラスカまで繋がっているそうです。また、夏の間だけ、トロントから週に一便大陸横断の客車が通るそうです。
ドライブ中に踏み切りで貨物列車に遭遇しました。ガイドさんが「あきらめるしかないですね。何両あるか数えてみますか?」とおっしゃって、皆で数えました。なんと、137両ありました。こんなに長い列車を見たのは、初めてでした。
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6月は湖たちが一番美しく輝く季節です。
レイク・ルイーズはまだ氷結したままの姿でした。イギリスのビクトリア女王の娘ルイーズ王女にちなんで付けられた名前だそうです。湖畔のフェアモント・シャトー・レイク・ルイーズホテルでお茶を飲みましたが、やはり英国風の雰囲気を醸しだしていました。
モレーン・レイクは雪と氷に縁取られていて、そして氷結が溶け出した中心のところだけターコイズブルーのトレーを置いたような、絶妙のコントラストで、神秘的でもありました。カナダ人にとっても、この美しさは誇りなのでしょう。旧カナダ20ドル紙幣に図柄が描かれていたそうです。
エメラルド・レイクはすっかり氷が溶けて、野の花が湖畔を鮮やかに彩っていました。湖畔を散歩しましたが、やはりここも、美しく整備されており、湖畔のロッジなども暖房は薪の暖炉が使われていました。カナダ人の自然との共生、楽しみ方を知る事が出来ました。
ボウ川の清冽な流れ、ナチュラルブリッジ、そして、名前を忘れてしまった多くの湖たち。そのどれもが美しく、今でも瞼に焼き付いています。
2日間我が家の案内をしてくださったガイドさんは、レインジャーの資格を持っていらして、動物から植物まで知識が豊富で、私の様な質問魔にも、とてもよく教えてくださいました。
3日目も同じ方にガイドを頼んだのですが、それは叶いませんでした。「ワークシェアリングで、どうしても、明日はご案内できません」と、帰宅する時にわざわざホテルに寄って下さいました。
美しいだけに過酷な自然。人もまたその中で暮らすには、仕事を分け合わなければならないのだということに気付きました。
カナダの治安の良さは世界一だと思います。
例えば食事にしても、普通の家庭ではおかずは一品だけだそうです。ガイドさんの同僚の日本人女性が、カナダ人と結婚して、彼の両親が遊びに来るので、日本式に何品ものお料理を作ってもてなしたそうです。お姑さんに「今日はいったい何の記念日なのか?」としかられたそうです。
遊びも、スキー・スケート・ハイキング・ピクニックと自然相手で、お金で楽しさを買うことはしないそうです。
広大な大地で生きて行くには、肩を寄せ合って、つつましく、質素に、そして心豊かに暮らす事なのだと思いました。
翌日は約束どおりに違うガイドさんが来ました。
とてもいい方でしたが、私の好奇心には答えの無い方でした。
マーブル・キャニオンにハイキングに行きました。氷河から流れ出した水は清冽な青色にきらめき、滝を造り、甌穴をうがち、美しさのもつ高慢さをも併せ持ち、誇らかに、高らかに笑い声を響かせるように、流れ下っていました。
標高2,281mのサルファーマウンテンの山頂にゴンドラで登りました。
山頂には遊歩道ができていましたが、まだまだ雪と寒さで散歩は断念しました。
頂上の居心地のよいレストハウスで眺望を楽しみました。はるか下方にバンフ市内がオモチャの町のようにありました。そして囲繞するカナディアンロッキーの雄姿が望めした。
雪解け時のロッキーは、限りなく美しく、又来ることが叶うとしたら、この季節しかないかなと思いました。
キャッスルマウンテンはその名のとおり、ヨーロッパの中世のお城のような、威風堂々とした山容で、まさにカナディアンロッキーのシンボルの風格を漂わせていました。カナディアンロッキーへようこそと、そしてさようならと、お出迎えとお見送りをしてくれました。
自然の中に満ち溢れる命に、共感と感謝を教わった旅でした。
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