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タウリンリポート

このレポートは、以前より気になっていた『○○○mg配合』で有名(?)な“タウリン”の効果について、あくまで個人的に色々と調べてみて、まとめたレポートです。
今後、これ以外にも気になっている、いわゆる『サプリメント』等のたぐいも、まとまり次第レポートしていくつもりです。

(※ここに掲載したタウリンの効果は、特定のタウリン配合製品の効果を直接示すものではありません。)

病気かな?と思ったら、迷わず病院に行かれる事をお勧めします。(生兵法はケガの元!です。)

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− 目 次 −

1.

タウリンって何?

2.

食品中のタウリン含有量

3.

天然と化学合成の違い

4.

タウリンの重要性

5.

タウリンの主な働き

6.

タウリンについて発表された研究論文

7.

タウリンの共通薬理作用

8.

ホメオスタシス(恒常性維持機能)とタウリン

9.

ダイエット効果とタウリン

10.

生活習慣病(成人病)とタウリン

11.

脳とタウリン

12.

目とタウリン

13.

心臓・血管とタウリン

14.

肝臓とタウリン

15.

すい臓とタウリン

16.

筋肉(スポーツ)とタウリン

17.

胃・腸とタウリン

18.

腎臓とタウリン

19.

白血球とタウリン

20.

血小板とタウリン

21.

免疫力とタウリン

 

1.タウリンって何?

  栄養ドリンク等でおなじみの「タウリン」。でも一体「タウリン」って何でしょう?
  実は「タウリン」とは、私たちが常日頃食べている食物から摂取したり、微量ながらも体内で合成されている物質であ
  り、あの『アミノ酸』の一種なのです。
  1827年、イギリスの科学者プラウトが化学の知識に基づいて、栄養価を炭水化物・脂肪・たんぱく質の三種類に
  分類しましたが、これによって、それまで解明されていなかった、食物を構成する成分が、少しずつ解明され始めまし
  た。

  「タウリン」についても、この年に仔牛の胆汁から分離され、物質としては発見されましたが、この時点では残念なが
  ら、硫黄を含む生体成分とまでは分かっていませんでした。
  胆汁は昔から薬理効果があるとされ、日本でも熊胆(熊の胆汁:クマノイ)などが万能薬として知られています。

  しかし、長い年月を経て「タウリン」の薬理作用が次第に解明されてくると、そのさまざまな効果から、多くの研究者が
  関心を寄せ始め、現在ではさまざまな研究がなされ、食品に添加したり、肝臓や心臓の治療薬としても利用されるよ
  うになってきました。

  その後「タウリン」という物質は、分子内に硫黄を有していることが分かり、今現在『含硫アミノ酸』に分類されていま
  す。『含硫アミノ酸』というのは、たんぱく質の構成成分の一つで、タウリンのほかにはシステイン・シスチン・メチオニ
  ンの三種類が数えられています。

  アミノ酸の中には、必須アミノ酸のように体内で合成されない、あるいは十分に合成されないものがありますが、タウ
  リンも体内で生成される絶対量が少ないため、どうしても体外からの摂取に頼らざるをえません。又、各種アミノ酸は
  たんぱく質を構成している構成成分と述べましたが、私たちの生命活動に非常に重要な働きをしているものです。

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2.食品中のタウリン含有量

  「タウリン」が薬理効果を出すためには、1日3,000mg〜6,000mgのタウリンが必要とされていますが、人が通常1日
  に食物中から摂取できるタウリンは、通常50mgから多い人でも250mg位しかないと言われています。
  また、食品によってタウリンの含有量にかなり差があることや、すべての食物に含まれているとは限らないため、1日
  に必要なタウリンを食品だけから摂取するというのは非常に難しいことがわかります。

食品に含まれる「タウリン」分量(食品(可食部)100g当り)

魚 類  含有量(mg) 魚介類  含有量(mg)
 タ コ  1,670.0  サザエ  1,536.0
 カツオ(血合)    832.0  カキ(殻付き)  1,178.1
 ブリ(血合)    672.9  ミルガイ    730.4
 マアジ    228.9  ヤリイカ    670.9
 ブ リ    187.2  ホタテ・貝柱(冷凍)    669.0
 サンマ    186.6  ハマグリ    549.2
 イワシ    175.7  カキ(パック入り)    490.6
 サ バ    168.0  アサリ    421.0
 カツオ    163.7  スルメイカ    364.1
 ニジマス     72.2  ホタテ・貝柱(缶詰)    295.0
 キングサーモン     54.5  クルマエビ    209.6
 マグロ(赤身)     32.1  タイショウエビ    216.7
 メバチ(中トロ)      8.4  アマエビ     63.4
 ウ ニ     32.6
 シジミ     32.4
  ただし、生の食品に含まれるタウリンは、焼くと3割、煮ると5割も減ってしまうといわれています。

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3.天然と化学合成の違い

  「タウリン」は、化学名では「アミノエチルスルフォン酸」と呼ばれています。
  もともと、仔牛の胆汁から発見されたものですが、その後、魚介類や肉類にも含まれていることが分かりました。

  現在のところ、大まかに分けるならば、タウリンの精製は天然素材を利用したものと、化学合成品の二つに分けられ
  ます。
  天然素材のほうは、魚介類と牛の胆汁を利用して抽出したもので、化学合成品はエチレン等から作られており、厚生
  省では、天然素材のものは『食品添加物』として扱い、化学合成品は『医薬品』として扱っています。

  さて、副作用の問題ですが、「タウリン」という物質そのものは、天然でも化学合成品でも同じものです。しかし、化学
  合成品のほうは、生成過程でおこる反応中間物や触媒の残留という問題が絶対ないとはいいきれないでしょう。日本
  薬局方では、98.5%クリアーしていればよいわけですから、残りわずかな物質が生体反応を起こすことも、人によっ
  ては考えられることです。

  参考までに、『医薬品』として利用されているタウリンは化学合成品ですが、備考欄には、副作用として便秘・下痢・
  腹部不快感・嘔吐・過敏症状などがあげられていますが、天然タウリンのほうは、常食としても問題がないという基準
  にそって、『食品添加物』として認可されていますし、化学反応を加えることなく抽出したものは、残存物の心配があり
  ませんので、安心して摂取することができるといえます。

  また、摂取する分量の問題ですが、いままでの研究報告によれば、仮に摂取しすぎても、不要なタウリンは尿中に排
  泄されてしまうので、あくまでも体内には必要な分量しか残らないことが分かっています。一応、目安としては、成人
  で1日の摂取量は3gとされています。

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4.タウリンの重要性

  「タウリン」にはさまざまな作用があり、私たちが生命活動を営んでいくためには、必要不可欠な物質となっていま
  す。にもかかわらず、タウリンは体内でごくわずかしか生成されないことから、必要のほとんどを体外から摂取する飲
  食物に頼っています。
  しかし、食材や食品に含有されている栄養素や個人嗜好、摂取できる分量などを考え合わせれば、1日に必要なタ
  ウリンの分量をきちんと摂取するというのはなかなか難しいのが現状のようです。

  又「タウリン」は、いままでの研究結果から、脳や骨格筋以外にも部位によっては多く存在し、生理作用に深く関わっ
  ていることが分かりました。その結果、必要な部位の体内タウリンの分量が減少または摂取量が少ないと、生理機
  能の低下や症状の悪化をきたしたり、その逆に、必要分量を摂取することによって、正常な機能の維持やさまざまな
  症状を改善に導いたりといったことに深く関与し、重要な役割を果たしてきていることも分かってきました。

  現実問題として、体内で生成される分量にも限界があることや、タウリンを含む食品や含有量の問題を考えると、不
  足分を補うための手段を真剣に考えることも大切かもしれません。

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5.タウリンの主な働き

  「タウリン」の研究については、日本では1978年から1987年の10年間に、ある製薬会社が非常に力を注いだ時期が
  あり、その時をきっかけに、多くの基礎系や臨床系の研究者や医師等によって、さまざまな研究が試みられてきまし
  た。今日までに報告されている研究報告のなかで、身近な疾患については下記のとおりです。

    ◎ 血圧降下作用
    ◎ コレステロール低下作用
    ◎ 動脈硬化症や血栓症の予防作用
    ◎ 骨格筋や心筋の過興奮抑制作用および収縮力調整作用
    ◎ 抗不整脈作用
    ◎ 血管拡張作用
    ◎ 実験的心不全発症遅延作用
    ◎ 臨床的心不全の治療効果
    ◎ 心筋症における病態発症の遅延作用
    ◎ アルコール禁断症状抑制作用
    ◎ 肝臓機能回復作用
    ◎ インシュリン分泌促進作用

  ほかにも、網膜や中枢神経、内分泌系統への生理作用のほか、放射線障害などと多岐にわたった報告がなされて
  いますが、治療としての効果だけではなく、生活習慣病(成人病)予防にもつながるような作用もあることから、食品
  や機能性食品としてのタウリンも紹介されています。

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6.タウリンについて発表された研究論文

タ イ ト ル 著 者 名 資 料 名
<生理活性>
含硫アミノ酸の生理活性―タウリンについて― 山口 賢次 他
(筑波大医)
フードケミカル
1(3):56-63(1985)
タウリンを中心とした含硫アミノ酸の代謝と栄養 山口 賢次 
(国立栄養研)
栄養学誌(1985)
特集 タウリン 斉藤 英昭 他
(東京大医)
JJPEN(1999)
タウリンその代謝と生理・薬理作用 岩田 平太郎 他
(大阪大医)
医歯薬出版(1975)
タウリンの栄養・生理機能 7編 横越・小田・  海老原・西村・村上・薩・金山 日本農芸科学会誌(2001)
<神経系関連>
タウリンの中枢作用:とくに抗けいれん作用 出水 千二 他
(筑波大医)
含硫アミノ酸
1:1-7(1987)
てんかんに対するタウリンの臨床治験 中根 充文 他
(長崎大医)
含硫アミノ酸
1:73-80(1978)
精神神経疾患と血清タウリン値 西浦 信博 他
(大阪医大)
含硫アミノ酸
3:85-88(1980)
タウリンの電気生理学的中枢作用 酒井 豊  他
(防衛医大)
含硫アミノ酸
2:19-38(1979)
神経系におけるタウリンの生合成と機能 栗山 欣也 他
(京都府立医大)
含硫アミノ酸
5:1-17(1982)
<心血管系関連>
心臓とタウリン 東  純一
(阪大医)
含硫アミノ酸
6:179-201(1983)
尿分析による高血圧性疾患と食塩、蛋白質、
含硫アミノ酸摂取の関係についての疫学的研究心臓とタウリン
家森 幸男 他
(島根医大)
含硫アミノ酸
3:123-130(1983)
血小板凝集に及ぼす高血圧家族又、食塩の
過剰摂取及びタウリンの影響
家森 幸男 他
(島根医大)
含硫アミノ酸
5:131-134(1983)
高血圧患者における尿中・血中のタウリンの変動について 小橋 紀之 他
(近大医)
含硫アミノ酸
3:131-139(1980)
本態性高血圧症におけるタウリンの降圧機序、血小板凝集との関係について 小橋 紀之 他
(近大医)
含硫アミノ酸
6:89-95・97-102(1983)
タウリンと高血圧症、数例の臨床経験
(高血圧に対するタウリンの効果・降圧作用、血小板機能に対する作用)
臼井 和之 他
(長崎大医)
含硫アミノ酸
6:221-228(1983)
Arteriolipidosis-Prone-Ratsにおける
コレステロール代謝へのタウリンの関与
家森 幸男
(島根医大)
入谷 信子 他
(帝塚山学院大)
含硫アミノ酸
3:107-133(1980)
先天性心疾患の心血行動態に及ぼすタウリンの影響 西本 啓  他
(順天堂大医)
含硫アミノ酸
6:213-219(1983)
小児の心筋におけるアミノ酸(タウリンの)代謝
(小児心疾患予防又治療のためのタウリンの必要性)
岩原 正純 他
(順天堂大医)
含硫アミノ酸
7:85-92(1984)
血圧と話題の物質タウリン 三上 洋 臨床医
11(9)60-61(1985)
アミノスルフォン酸の降圧作用に関する研究
(基礎的研究ならびに本態性高血圧症に対する臨床薬理学的検討)
村山 義治 他
(昭和医大)
昭和医学会誌
32(3)128-157(昭47)
<肝胆系関連>
タウリンの血清及び肝臓コレステロール低下作用 辻  啓介 他
(国立栄養研)
含硫アミノ酸
2:143-154(1979)
タウリン投与によるコレステロール胆汁酸代謝の変動 藤本 隆由 他
(奈良県立医大)
含硫アミノ酸
2:155-163(1979)
肝胆系疾患における胆汁、血中胆汁酸構成とタウリン投与の影響 松山 義則 他
(奈良県立医大)
含硫アミノ酸
4:141-147(1981)
高コレステロール血症に対するタウリンの影響 馬場 茂明 他
(神戸大医)
含硫アミノ酸
5:155-160(1982)
胆道系酸素上昇を併う慢性肝疾患に対するタウリン投与の影響 栗山 欣也 他
(京都府立医大)
含硫アミノ酸
5:167-173(1982)
急性肝炎に対するタウリンの二重盲検比較試験法による臨床評価 辻井 正  他
(国立栄養研)
含硫アミノ酸
3:223-235(1980)
コレステロール胆石とタウリン 辻  啓介 他
(国立栄養研)
含硫アミノ酸
10(5)819-833(1985)
肝におけるアルコールの代謝と影響 中嶋 俊彰 他
(京都府立医大)
含硫アミノ酸
1:89-95(1978)
めいちょう経過とタウリンの影響 高橋 宏  他
(国立精神衛生研)
含硫アミノ酸
1:81-88(1978)
アルコール禁断症状に対するタウリンの効果 池田 久男 他
(岡山大医)
含硫アミノ酸
1:107-110(1978)
肝炎に対するタウリンの臨床効果 増田 正典 他
(京都府立医大)
含硫アミノ酸
7(12)151-173(1973)
肝疾患と含硫アミノ酸その基礎と臨床 滝野 辰郎 他
(京都府立医大)
含硫アミノ酸
8:1-11(1985)
<膵・腎系>
すい臓の血糖調節機能におけるタウリンの役割 徳永 尚司 他
(京都府立医大)
栄養学誌
2:177-179(1979)
慢性腎疾患における血漿含硫アミノ酸の変動 秋田 昌彦 他
(重井医学研)
含硫アミノ酸(1981)
<その他>
タウリンによる免疫増強作用 石坂 重昭 他
(奈良県立医大)
栄養学誌
7:181-186(1984)
タウリンによるマウス及びヒトリンパ球の活性増強作用 吉川 正英
(奈良県立医大)
免疫学会講演要旨
タウリンがラット脂肪組織分解能に及ぼす影響 田中 弘之 他
(東京学芸大教)
含硫アミノ酸(1984)
タウリンの過酸化脂質に及ぼす影響 岡本 康幸
(奈良県立医大)
栄養学誌
7:201-206(1984)
ヒト角膜上皮細胞における浸透圧感受性タウリントランスポーターの特性 宮木 有正
(東京大大学院)
必須アミノ酸研
(2002)
長期暗順応下におけるカエル網膜内タウリンの代謝変化について 井田 修二 他
(京都府立医大)
栄養学誌
3:55-67(1980)
運動時代謝に及ぼすタウリンの影響 小野 三嗣 他
(東京学芸大)
含硫アミノ酸
4:105-110(1981)
6:229-238(1983)
7:171-180(1984)
放射線障害に対するタウリンの回復効果 阿部 光幸 他
(東都大医)
含硫アミノ酸(1978)
皮膚におけるタウリン分布 渡辺 弘俊 他
(大阪大医)
Cell.mol.Biol(1995)
含硫アミノ酸、関連ペプチド及び関連物質に関する国際シンポジュウムに参加して 山口 賢次
(国立栄養研)
栄養学誌
45(1):45-46(1987)
タウリンを中心とした含硫アミノ酸の代謝と栄養 山口 賢次
(国立栄養研)
化学と生物
23(5):299-308(1985)
含硫アミノ酸、とくにシステイン代謝の生化学 山口 賢次
(国立栄養研)
含硫アミノ酸
4:25-41(1981)
乳児栄養とタウリン 守田 哲朗 周産期医学
15(3):73-77(1985)
調整粉乳に添加されたタウリンの血しょう胆汁酸への影響に関する研究 守田 哲朗
金  幸之
日本小児科学会誌
89(9)2090-2096(1985)
タウリン添加調整粉乳の乳児栄養学的効果に関する研究 守田 哲朗
小林 七一郎
日本小児科学会誌
89(10)2319-2326(1985)
魚介類のタウリン含量 小沢 昭夫
辻  啓介
(国立栄養研)
日本栄養食糧学会誌
37(6):561-567(1984)
魚類組織中のTaurineおよびHypotaurineの含量 坂口 守彦 含硫アミノ酸
5:183-187(1982)
市販動物性食品のタウリン/コレステロール含量比 辻  啓介 他
(国立栄養研)
含硫アミノ酸
7:249-255(1984)

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7.タウリンの共通薬理作用

  さまざまな研究の結果から、「タウリン」には全てに共通な薬理作用があるといえます。
  それは、カルシウムの問題(カルシウムモジュレーション)と細胞を作っている膜(細胞の表面膜)を強化しているとい
  う、この2点に集約されます。ここでいうカルシウムというのは、骨を作っているカルシウムではなく、細胞が生きていく
  ために絶対必須であるカルシウムイオンのことを言っています。このカルシウムイオンは、常に細胞の外側に多く存在
  し、内側は少ない状態にあります。

  心臓を例にとれば、心臓の細胞に外側からカルシウムイオンが入ると心臓の細胞は興奮します。すなわち、心臓が
  脈を打つとき、心臓の細胞の内側に外側からカルシウムイオンがピュッと入ると、細胞の中のカルシウムイオンが
  パッと増えて収縮します。このようにカルシウムイオンは細胞活動に密接に関係しています。色々な物質を投与して
  細胞に影響を与えようとすると、セカンドメッセンジャーといって、細胞の中でカルシウムイオンの分布が変化し二次的
  な情報を細胞に伝えていくのです。

  このようにカルシウムイオンは、細胞内に入ることで細胞の代謝に影響を与え、入りすぎると細胞は死んでしまうので
  す。タウリンには、このようなカルシウムイオンの移動を微妙に調整する働きがあるのです。
  「てんかん」などは、外側のカルシウムイオンが大量に細胞の中に入り込んで、細胞が興奮するために起こるのです
  が、タウリンが多くあれば、細胞の内側にカルシウムイオンを入りづらくするので「てんかん」を抑制できるわけです。
  しかし、一方的にカルシウムイオンを入りづらくしたら細胞は活動しなくなってしまいます。タウリンは、入りすぎるカル
  シウムイオンを抑制し、足りない時には促進する働きがあるのです。

  またタウリンは、細胞を正常に働かせるうえで最も大切な生体膜の構造を保つ作用を持つため、カルシウムイオンの
  調節と共に、色々の薬理作用を発揮するようです。

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8.ホメオスタシス(恒常性維持機能)とタウリン

  人間の体はバランスを保とう(恒常性を維持しよう)とする機能、たとえば体温や血液中のブドウ糖量・浸透圧などを
  一定に保とうとする機能があります。この機能のことをホメオスタシス(恒常性維持機能)といいます。
  科学的研究が進むにつれ、「タウリン」はこのホメオスタシスのための重要な役割を担っていることが分かってきまし
  た。
  消化器系、循環器系、脳神経系、感覚器系など体のあらゆるところでホメオスタシスに関わり、調節機能として働い
  ていたのです。
  (文献山口賢次:タウリンを中心とした含硫アミノ酸の代謝と栄養、科学と生物、23(5),299.(1985))

  体に必要な栄養素は、小腸から血液中にとり込まれます。しかし、無制限にとり込むのではなく、必要なものを必要
  なだけしかとり込みません。ところがタウリンだけは無制限にとり込まれる事が分かりました。それだけ体にとって重
  要性が高いと考えられています。
  タウリンは小腸から血液中にとり込まれ、心臓、腎臓といった各臓器に運ばれていきますが、一般にアミノ酸やミネラ
  ルなどの成分は、濃度の濃い方から薄い方へ移動します。たとえば、細胞内のCaの濃度が濃く、細胞外が薄けれ
  ば、Caは細胞外へ移動します。ところがタウリンは、その逆(濃度の薄い方から濃い方)へも移動することができま
  す。

  このようにタウリンが、必要な臓器に必要な量だけフリーパスで移動できるのは、ホメオスタシスに関わる重要な役
  割を担っているからだと考えられます。
  (文献R.T.Huxtable:Physialogical Actions of Taurine,Physiological Reviews, 72(1),101.(1992))   

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9.ダイエット効果とタウリン

  ダイエットというと、単に体重を減らすことだけに重点がおかれがちですが、実際には体の脂肪を減らすことによる体
  重減量でなければならないことに注意しなければなりません。また、体内脂肪の減少をはかることは、痩身における
  効果だけではなく、生活習慣病(成人病)予防を含め、あらゆる健康面の改善に役立つことを理解しておくべきです。
  実は体脂肪が減少してこそ本当のダイエットの成功と言えます。

  肥満の種類としては、単純性肥満・症候性肥満の二種類があり、単純性肥満がその90%を占めており、最近の研究
  により単純性肥満については、おおよそ下記に述べる7つの原因が提唱されています。
  • インシュリンの過剰分泌論
    高インシュリン血症には、肝臓、脂肪組織での脂肪合成を促進し、血中の脂肪の脂肪組織への沈着を促進し、 脂肪組織での脂肪分解を抑制するなどの強い脂肪蓄積作用があり、また、インシュリンには空腹中枢を刺激し、摂食を増加させる作用があります。
    摂食中枢へのシグナルは血糖値であり、高インシュリン血症は常に血糖値が低く、空腹中枢が刺激され、摂食にいたり、肥満を促進することとなります。
    「タウリン」は、ホメオスタシス(恒常性維持機能)の重要因子であり、インシュリンとグルカゴンのバランス調整を図っています。 インシュリンの分泌は血糖値を下げる効果があるが、本当に体が必要としている時に空腹中枢にシグナルを送ることこそ重要といえます。
    「タウリン」は正に、インシュリンの分泌過剰の根本の部分から解決することが期待できます。

  • 脂肪細胞の増殖論
    体の脂肪は脂肪細胞に蓄積するが、現在ある脂肪細胞に脂肪がたまり、脂肪細胞のサイズが大きくなる肥大型肥満と、 脂肪を貯える脂肪細胞の数が増え、その中に脂肪が蓄積する増殖型肥満があります。
    肥大型は成人以後、増殖型は小児期に発生します。また、小児期の増殖型肥満は成人になって、増殖型と肥大型の重症肥満に移行する確率が高まります。
    近年、脂肪細胞の一部は一生を通じて常に増えていると考えられています。 また、増える時期は、人生に3回(胎児期・生後1ヵ年・思春期)あるといわれており、 この時期における脂質・糖質を主とした過剰カロリーの摂取(成長にあまり寄与しない脂質・糖質)は、脂肪細胞の分裂が盛んになり細胞増殖型肥満になります。
    「タウリン」には、脂肪を速やかに燃焼させる効果があります。
    軽度な運動ではエネルギー源として筋肉及び骨におけるエネルギーをまず消費します。 このことは、筋肉を細くすることに結びつき、体脂肪が減少しないことになります。 「タウリン」は、筋肉・骨ではなく脂肪を燃焼する働きがあり、このことからして脂肪細胞の増殖を食い止め、減少に導くものと思われ、 肥大型の脂肪細胞の燃焼と脂肪細胞の増殖抑止効果が期待できます。

  • 過食論
    摂取カロリーの過剰は、体の中に代謝異常がなくても貯蔵カロリーを増やすように働き、貯蔵脂肪が増える結果となります。 すなわち、摂取カロリーの過剰は過食によるところが大きいのですが、その過食になる原因としていくつか考えられます。    
            
    • 満腹感のセットポイントの上昇
      摂食が停止する満腹中枢への大きなシグナルは血糖値といわれていますが、満腹感を感じる血糖値のセットポイントが上昇しているために、 満腹感を感じず過食になってしまう可能性があります。
      セットポイントの上昇は何らかの原因により、バランスが崩れることにより引き起こされていると思われますが、 バランスをとり常に良好な状態に保とうとするホメオスタシスの機能が働くことにより、セットポイントの上昇は解決できると考えられます。
      「タウリン」はホメオスタシスをつかさどる重要因子であることから、摂取することによりホメオスタシスの働きを健全化でき、 セットポイントの上昇は解決できるものと期待できます。
            
    • インシュリンの分泌過剰
      インシュリンは視床下部外側核にある摂食中枢を直接刺激し、摂食を増加させる作用があり、一定以上の肥満になると空腹中枢が過度に刺激され過食になり、 肥満を悪化させるといわれています。
      「タウリン」はホメオスタシス(恒常性維持機能)の重要因子であり、インシュリンとグルカゴンのバランス調整を図っています。
      インシュリンの分泌は血糖値を下げる効果がありますが、本当に体が必要としている時に空腹中枢にシグナルを送ることこそ重要といえます。
      「タウリン」は正に、インシュリンの分泌過剰の根本の部分から解決することが期待できます。
            
    • 脳内アミン機構の乱れ
      アミン機構として、セロトニン機構の乱れが過食を招き、肥満の一因となっているといわれています。
      この乱れとは、セロトニンとドーパミンのバランスによるものと思われます。
      本来、健全にホメオスタシスが機能するならば、このバランスが乱れることにはならないはずです。
      すなわち、「タウリン」の摂取によりホメオスタシスの働きを健全化でき、セロトニン機構の乱れを十分に改善できるものと期待できます。
            
    • ペプチドホルモンの乱れ
      ペプチドホルモンは、神経伝達物質または神経機能調整物質といわれていますが、摂食に関与するホルモンであることが分かりました。
      このホルモンの乱れが肥満を招く可能性が考えられています。
      ホルモンの形成、ホルモンのバランスはホメオスタシスの重要な要因です。
      「タウリン」の摂取は、ホメオスタシスの健全化によりホルモンの乱れの改善は十分に期待できます。 また、「タウリン」は神経機能調整物質であることは研究論文からも明らかであり、この観点からも改善に結びつくことが期待できます。
            
    • ストレス
      極端なストレスに陥ると、食べてストレスを解消しようとする大食症あるいは気晴らし食い症候群という神経科の疾患があります。
      特に、夜食はストレスを解消するトランキライザー(精神安定剤)の一つとして作用している可能性が指摘されています。
      「タウリン」の摂取は、精神安定に効果があることが研究論文のなかからもうかがえます。また、過去の摂取の目的からも明らかです。 すなわち、ストレスを受けても「タウリン」の摂取により、解消あるいは軽減に結びつくことが予想されます。

  • 誤った摂食パターン論
    1日における食事の回数の比較を行った場合、少ない回数で食事を獲った者が最も肥満に陥ったという報告がなされています。
    また、ドカ食いの方がチビチビ食いよりも太るという成績が報告されていますが、そのメカニズムは解明されていないものの、 偏った食べ方がインシュリン分泌の上昇を招く可能性が考えられています。
    それと、食物カロリーの一部は吸収時に熱として失われるが、摂食機会が少ないほど失われるカロリーが少なくなります。
    夜食症候群も誤った食べ方です。夜は自律神経のうち副交感神経が優位になるため、消化管機能が高まり食物カロリーの消化吸収がよくなり、 食べたものが貯蔵カロリーになりやすいと考えられています。
    摂食パターンを改善することは、意識の改革・行動修正を行わなければなりません。 また、摂食パターンが狂うことにより、インシュリン分泌過剰・代謝機能の低下・交感神経と副交感神経のバランス異常等を招くことが予想されますが、 「タウリン」の摂取により、予想される弊害の改善が、ホメオスタシス・細胞膜の安定及び強化・カルシウムモジュレーションにより期待できます。
      
  • 遺伝論
    体脂肪蓄積に関与する遺伝因子は5〜30%という試算が出ており、遺伝子的素因は肥満をもたらす原因の一因子と考えられています。
    研究報告あるいは各種文献において、摂食パターン・摂食内容・代謝内容が重要であり、遺伝は問題にしないとされています。 そのため、ここではあえて「タウリン」と遺伝論については論じませんが、たとえ遺伝的要素があったとしても 「タウリン」の持つ様々な功能・効果を考慮するならば、十分にその効果は期待できると思われます。

  • 運動不足論
    運動不足は消費エネルギーを減らすのみでなく、エネルギーを体内に貯蔵しやすい代謝状態に変化させます。
    運動不足状態になるとインシュリンレジスタンス状態になり、インシュリンの過剰分泌をもたらします。 インシュリンの過剰分泌は血糖値効果作用を弱めますが脂肪合成作用は弱まらず、脂肪蓄積の代謝状態をつくります。
    さらに基礎代謝が減少し、貯蔵エネルギーが増えやすくなります。また、脂肪合成酵素の活性も亢進します。 実際、運動不足の肥満の原因寄与としては、運動不足による消費エネルギー低下よりも代謝状態の変化の方が大きいのです。
    運動は代謝機能を高め、なおかつ消費カロリーを摂取カロリーよりも大きく、あるいは同じにすることにより、健全な身体を維持あるいは作る働きがあります。
    運動による身体的機能を見た場合の役割は、インシュリンの分泌作用への影響・代謝機能の健全化・酵素活性の亢進等がありますが、 「タウリン」自体にもその重要な役割があり、研究論文等からも運動群とタウリン飲用群がほぼ同じ結果に導かれているところから、 運動不足においてもその効果が十分に期待できます。

  • 熱産生機能障害論
    熱産生をつかさどる褐色脂肪細胞の機能不全は、消費エネルギー減少型の体質を作り、貯蔵エネルギーを増やして肥満の原因になっているといわれています。
    褐色脂肪細胞の機能不全に対し「タウリン」は、カルシウムモジュレーションにより、細胞に健全な働きをさせる効果があります。 これは、細胞を本来持つ働きにするものであり、「タウリン」の摂取により機能不全が解消し、熱産生がスムースに行われることが予想されます。

  食事をすることにより、必要な栄養素を取り入れ、身体を作り、取り入れたエネルギーを燃焼させその動きを作ってい
  ることは言うまでもありません。
  すなわち、バランス(栄養素において・カロリーにおいて)のとれた食事をすることがなによりです。カロリーを抑えるこ
  とは必ず減量に結びつきますが、必ず弊害が現れます。
  そんななか、「タウリン」は必ずやダイエット・エステティックにおいても、スポーツ業界・疾病治療と同様、今までの常
  識を打ち破る効果が期待できます。

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10.生活習慣病(成人病)とタウリン

  今や成人病は「生活習慣病」という名称になるほど、若年層をも巻き込んだ現代病としてとりあげられています。その
  原因は様々ですが、これらの全てに共通することは、長年にわたる生活習慣と深い関わりがあるということです。
  食事については、塩分や糖・脂肪及びアルコールの摂りすぎ、そして睡眠不足やストレスなども大きく関係していま
  す。
  • 食べ過ぎによる、肥満、高脂血症、糖尿病。
  • 食塩の摂り過ぎによる、高血圧、腎臓病。
  • アルコールの摂り過ぎによる、動脈硬化、心臓病、脳卒中、肝臓病など。

  タウリンはこのような生活習慣病に対する薬理作用を有することが、すでに実験で証明されています。
  もともと「タウリン」は、人の体の中で合成されていますが、その絶対量が低いため、毎日の食事を通じて摂取しなけ
  ればなりません。その摂取量は、1日の通常の食事で約50mg〜250mgとされていますが、薬理作用の効果をだすた
  めには、1日3,000mg(3g)のタウリンが必要です。
  体内に入ったタウリンは、体のすみずみまでいきわたり、多ければ尿中に排出されるので副作用の心配もありませ
  ん。ただし、「タウリン」はアミノ酸なので、じかに肌に塗ったりすると、かゆみを伴う場合も有り得ますが、服用に関し
  ては一切心配ありません。

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11.脳とタウリン

  すべての行動をつかさどる脳。この脳の中の血管(脳動脈)に異常をきたして血液の流れが悪くなると、脳の働きは
  妨げられ、脳血管障害が起こります。

  この脳血管の異常で起こる病気が「脳卒中」です。脳卒中には、高血圧が主な原因で脳の動脈が破れて出血する脳
  出血と、脳動脈内や脳以外の場所で出来た血の固まりや脂肪が頭の血管に詰まり血液が流れなくなる脳梗塞があ
  り、どちらも命にかかわる病気です。
  タウリンは血圧を下げる働きがあるほか、血が固まるのを防ぐ(固まりにくくする)効用があるのです。
  その他、脳が酸素欠乏になると後遺障害が残りますが、このときタウリンが多くあると、脳の障害を防ぐことができる
  のです。

  またタウリンには、細胞の興奮を調整する作用があるので、「てんかん」による興奮やアルコールによる酩酊(悪酔
  い)を抑えます。   

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12.目とタウリン

  目の視細胞の中には「タウリン」が多く含まれており、タウリンがなくなると目も見えなくなってきます。これは暗順応
  (暗闇の中で目が慣れて、徐々にまわりが見えてくる現象)にも関係しています。老化にともないタウリンが減ってくる
  と、暗闇の中で目が慣れるまで時間がかかるわけです。すなわちタウリン不足は、視力低下や暗順応機能の低下を
  招きます。
  このようにタウリンは、知覚神経に作用し暗順応の短縮を図る働きがあります。

  また、生れたばかりの赤ちゃんは、タウリンを合成することが難しく、そのため母乳からタウリンを吸収しています。
  いわゆる初乳と呼ばれる、赤ちゃんを産んだ直後の母乳には、このタウリンが大変多く含まれていることが分かって
  います。
  タウリンは頭(脳細胞)や目の網膜の発達に必須であるため、赤ちゃんの粉ミルクの中にはタウリンを添加させている
  のです。

  特に網膜には血清中に含まれる量の500倍ものタウリンが存在しているといわれます。
  なぜこれほど多くのタウリンが目に存在するのか、その関係を追ってみました。

  タウリンは目の組織に多量に含まれています。特に網膜中に含まれるアミノ酸の40〜50%はタウリンといわれるほ
  ど高濃度に含まれています。
  網膜中には多数の光受容細胞があり、外部からの光の刺激を感知して興奮し、その興奮状態を脳中枢へと伝達しま
  す。つまり、「視覚」を生じさせる重要な役割を果たしています。この光受容細胞に多くのタウリンが含まれ、過剰に興
  奮しないように網膜の神経を抑制し、網膜を守っているのだと考えられています。

  猫はタウリンが不足すると、光受容細胞の退化が進み、網膜は致命的なダメージを受け、ついには視力を失ってしま
  います。又、猫はもともと体が必要とするタウリンを、体内で十分合成することができないので、食べ物から摂取しなく
  てはなりません。そのため、市販のキャットフード中には大抵タウリンが含まれています。猫が魚を好んで食べるの
  も、タウリンを食物から摂取するための、自然の摂理なのかもしれません。   

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13.心臓・血管とタウリン

  「ガン」に次いで死因の第2位である心臓病。心臓には狭心症と心筋梗塞の2大疾患があります。狭心症は、心臓の
  筋肉に必要な栄養や酸素を運ぶ血管である冠状動脈の壁に、コレステロールが沈着し内腔が狭くなって心筋に十分
  な血液を送れなくなる病気で、心筋梗塞は、冠状動脈が詰まり血の流れる道が閉ざされて、酸素や栄養素を供給で
  きなくなり心筋が腐ってしまう病気です。

  タウリンは、血液中のコレステロールを下げる働きがあるので、狭心症、心筋梗塞を予防し、動脈硬化を防ぐ作用が
  あります。
  また、心筋が興奮し過ぎておこる不整脈は、タウリンが興奮を抑えることで予防できます。

  ウサギやラットの心臓を取り出し、酸素や栄養素を与えているといつまでも動き続けます。心臓は自ら規則正しく動く
  能力(自動能)を備えており、これは他の臓器にはない能力です。自動能を持った細胞は、右心房と上大静脈が接す
  る部分にあり、この細胞を「ペースメーカー細胞」と呼んでいます。秒速1mの速度で電気信号を発し、全心筋細胞に
  収縮・弛緩の指示を出し、心臓を動かしています。この現象を細胞レベルで観察すると、収縮・弛緩がおこるたびに、
  細胞内にカルシウムイオンが出たり入ったりしているのです。細胞内のカルシウムイオンが多くなれば細胞は収縮
  し、少なくなれば弛緩します。この収縮・弛緩が全細胞で一斉に起こり、心臓全体が収縮・弛緩をするわけです。すな
  わち、1分間に80回カルシウムイオンの出入りがあれば、心拍数は80となります。

  心筋細胞には、カルシウムイオンの出入りできる通路がいくつもあります。たとえば細胞中のカルシウムイオンが多く
  なると、タウリンが通路を閉じ、逆にカルシウムイオンが少なくなれば、通路を開けて入る量を多くします。さらにタウリ
  ンは、ペースメーカー細胞自身のカルシウムイオンの流入量までコントロールし、心拍形成に影響を与えているので
  す。タウリンは心臓という直接生命に関わる臓器の中で、ホメオスタシス(恒常性維持機能)を維持するもっとも基本
  的な、最も大切な働きをしているのです。

  心臓は一時たりとも休むことが許されない臓器です。もしタウリンが少なくなれば、心臓は機能不全に陥ります。それ
  ゆえに最もホメオスタシスが要求される臓器です。こういう重要な臓器だからこそ、ホメオスタシスを維持する働きの
  あるタウリンが、体の中で1、2といわれるぐらい多く含まれていると、考えられているのです。
  (文献東純一:含硫アミノ酸第6巻第2号(1983年)心臓とタウリン)   

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14.肝臓とタウリン

  肝臓は血液中のたんぱく成分の多くを作ったり、たんぱくの分解産物であるアンモニアを無害な尿素に変えたり、有
  害な物質を分解するなど、身体の物質代謝においてきわめて重要な役割を果たしています。

  「タウリン」は、肝臓でコレステロールから生成された胆汁酸と結びついて抱合胆汁酸となり、胆汁中に出て腸で働い
  たあと腸管壁から吸収され、再び肝臓へ戻って腸と肝臓の間を往復(腸肝循環)します。この腸肝循環がスムースに
  行われていることが、健康にとって重要なことなのです。もし腸肝循環がうまくいかなくなると脂肪の消化・吸収が悪く
  なり、胆石の原因にもなります。そして、コレステロール値を高めてしまいます。この胆汁酸の分泌にタウリンが深く
  関与しているのです。

  コレステロールは、生命活動に欠かせない物質ですが、過剰になると高脂血症、動脈硬化、心筋梗塞などの原因に
  なります。特に懸念されるのは、子供の動物性脂肪摂取量が増加し、『成人病(生活習慣病)予備軍』が増えている
  ことです。過剰なコレステロールを少しでも減らすには、胆汁酸の生成・分泌を促進することです。
  またタウリンは、食物から取り入れた脂質の消化を助け、腸で働いたあと、再び肝臓に戻り再利用されます。

  胆汁が止まると、ほんらい胆汁中に出るべきビリルビンが血中に増えて黄疸となります。黄疸が出た人には、タウリ
  ンをたくさん投与し、胆汁を出すように促す治療をしています。
  タウリンには、急性肝炎の黄疸を速やかに治したり、肝硬変の治癒に役立ち、アルコールの二次障害を抑える働き
  があります。   

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15.すい臓とタウリン

  すい臓は胃のすぐ後ろにある分泌腺で、大部分は十二指腸に分泌される酵素を作り、食物中のたんぱく質、でんぷ
  ん、脂肪の消化に役立たせており、残りの部分(ランゲルハンス島)で、インシュリンを作っています。
  インシュリンは体にとり込まれた栄養素(糖・たんぱく・脂肪など)の代謝をスムースに行うために不可欠なもので、こ
  れがなければ人間は生きていけません。

  このインシュリンが不足して、尿に糖が出たり、血液の中の糖が普通の人以上に高くなる病気が糖尿病です。
  血液中は浸透圧が高くなり、血管外の細胞から水分を取り入れようとします。その結果、細胞は水不足になり、体が
  だるくなったり、脱水症状をおこして喉が渇くようになります。また、尿として糖と一緒に多くの水分も出てしまいます。
  そのため、尿が多くなり、夜中にトイレに2〜3回起きるようになります。エネルギー不足でおなかもすくようになりま
  す。これが糖尿病です。

  血液中のブドウ糖が多いときには、インシュリンによってブドウ糖をグリコーゲンに変えて肝臓に蓄え、血液中の濃度
  が上昇しないよう調節しています。
  タウリンには、インシュリンを出す細胞(ランゲルハンス島)が壊れていくのを防ぎ、インシュリンを出す細胞を強化・活
  気づけ、血液中の糖分が高くなるのを抑える働きがあります。
  (文献CAN.J.PHYSIOL PHARMACOL VOL.61,457〜463(1983))   

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16.筋肉(スポーツ)とタウリン

  「タウリン」は、筋肉の活動を活発にする働きがあります。たとえば、タウリンをたくさん飲んで100mを走った場合、
  タイムが良くなるという実験結果が出ています。
  全力疾走するときは、ほとんど息を止めているので、走っている最中に筋肉が酸素欠乏になってきます。酸素欠乏に
  なると、筋肉はエネルギーを作れなくなります。
  タウリンは細胞を強化する働きがあるので、多くあれば酸素欠乏時のエネルギー低下を抑えることができるのです。

  これはあらゆる臓器の実験で証明されています。脳の場合であれば、酸素欠乏になって4分間虚血にしたら死んで
  しまうところを、タウリンを投与することによって5分間に延ばせました。
  肝臓でもタウリンが多いと、虚血に対してダメージが少なくなる効果があります。
  筋肉を動かすには、エネルギーが必要です。エネルギー源は食べ物として摂取した糖分や脂肪、たんぱく質など
  です。これらの栄養素が代謝・分解される過程でつくられるエネルギーを使って筋肉は動いているのです。
  エネルギーは、次の3つの方法でつくられます。

   ◎ 脂肪やブドウ糖・グリコーゲンが水と炭酸ガスに分解される過程でつくられる。
     (酸素を使う有酸素エネルギー代謝)
   ◎ ブドウ糖・グリコーゲンが乳酸に分解される過程でつくられる。
     (酸素を使わない無酸素エネルギー代謝)
   ◎ 筋繊維中のホスホクレアチンという物質が分解される過程でつくられる。

  「タウリン」は、脂肪の分解を促進してエネルギーの産生を高めていることが分かってきました。
  (文献田中弘之ら:含硫アミノ酸、8(2):481-1985)

  長時間筋肉を使う運動は、長時間エネルギーが産生できる力、つまりスタミナが必要です。マラソンのような有酸素
  運動は、全エネルギーの約五割弱が脂肪からのエネルギーです。したがって、脂肪を分解してエネルギーを供給
  することが、スタミナをつける重要なポイントとなります。

  タウリンは、脂肪の分解を促進するのでエネルギーの産生が持続します。それは、グリコーゲンからつくられるエネル
  ギーの節約につながります。その結果、長時間エネルギーを産生できるので、スタミナがつき、又、乳酸の発生が抑
  えられるため、疲労感が抑制されるのです。   

スポーツ選手の飲用と影響へ

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17.胃・腸とタウリン

  今、医学界にとどまらず一般にも大きな注目を浴びているのが「ヘリコバクター・ピロリ菌」です。40代以降の日本人
  の7〜8割がピロリ菌に感染しているといわれます。
  このピロリ菌が胃の粘膜に入り込んで胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍に関与していることが、最近の消化器疾患の
  研究で分かりました。ピロリ菌は強酸性の胃の中で、胃液の中の尿素を分解してアンモニアを作り、酸を中和して
  身を守っています。このアンモニアが胃粘膜に障害を引き起こし、組織障害をもたらす物質を作ります。これが胃潰瘍
  の原因の一つといわれます。これに対し「タウリン」は組織障害をもたらす物質ができないように作用して、胃潰瘍の
  発生を抑えているといわれています。
  (文献斉田宏:H.Pyloriの胃粘膜障害における活性酸素の関与、Medical Tribune 25(49),20.(1992))   

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18.腎臓とタウリン

  腎臓は体に不要な老廃物を、尿という形で外に排泄しています。さらに、水やナトリウムイオン、カリウムイオンといっ
  た電解質が、体液中で一定のバランスがとれるよう、内部環境を正常に保つ、つまりホメオスタシスを維持する重要
  な役割を担っています。

  たとえばスポーツで汗をかくと多くの水分が失われますが、腎臓は水分の少ない濃い尿にして体液の量を一定に保
  とうとします。腎臓は激しい浸透圧の変化を強いられる臓器です。その変化に対応するため、どんな組成の尿をどの
  くらい排泄すれば一番いいのか、リアルタイムで処理しているのです。

  心臓の拍動によって送り出される血液の、約20%は腎臓にとり込まれます。そして、血球と大きなたんぱく質以外は
  ほとんどろ過され、尿の元となる原尿が作られます。その量1日約160リットル、ちょうど浴槽一杯分の量に相当しま
  す。
  ろ過した後、99%は尿細管で再吸収され、血液中に戻り全身に運ばれます。残り1%には体に不必要な尿素、尿酸
  などが含まれ、尿となって体外に排泄されます。1日の尿の量は約1.5リットル程度です。
  もし、過剰にタウリンが摂取されれば、タウリンは尿中に排泄されます。タウリンが不足すれば、尿細管で再吸収し、
  尿中排泄を少なくするようコントロールしているのです。

  再吸収が行われる尿細管の中でも、多くの水分が再吸収された後の尿細管内の液は濃度が大変高くなっていま
  す。そのため尿細管を構成している細胞とのあいだに大きな浸透圧の差が生じ、細胞内から水分が奪われてしまう
  と、細胞として機能しなくなってしまいます。
  ところが、濃度の高い尿細管の細胞内にはタウリンが多くとり込まれ、細胞がダメージを受けないよう細胞内の浸透
  圧を調節していたのです。

  タウリンは腎臓の細胞を保護し、再吸収が正常に行われるよう腎機能を助けているのです。
  (文献腎と透析1993年臨時増刊号P.143中西健 他)   

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19.白血球とタウリン

  血液1cc中に、成人では平均6,000〜8,000個の白血球が存在します。細菌やウィルスが体内に侵入すると、これら
  を異物として認識し、白血球が取り囲みやっつけてしまいます。この白血球一つ一つに高濃度のタウリンが存在し、
  生体防御の重要な役割を果たしているのです。

  一口に白血球といっても、好中球、好塩基球、好酸球、リンパ球、単球などいろいろあります。白血球は、細菌や
  ウィルスを包み込むように取り込み、細胞内にある顆粒の中からさまざまな殺菌物質を出して殺してしまいます。
  これを、貪食・殺菌作用といい、数個から20数個食べると死んでしまいます。その死骸は膿や痰となって体の外に
  排泄されます。この殺菌物質の中でも特に強力な武器は、毒性の強い「活性塩素」です。しかし、活性塩素が出過ぎ
  ると、白血球自身がやられ、活性塩素を体内にばらまいてしまいます。
  ところが、活性塩素が出過ぎても、白血球内のタウリンによって活性塩素を無毒化するとともに、活性塩素の刺激か
  ら細胞膜を保護し、白血球自身を守っていたのです。タウリンは活性塩素スカベンジャー(掃除屋)の働きをしていた
  のです。白血球のタウリン濃度が、血しょうの500倍もあるというのも、何となくうなずけます。

  又、ラット(ねずみ)の実験等で、生体防御機能の低下した老齢のラットの貪食・殺菌作用が大きく増強され、若い
  ラットとほぼ同程度の生体防御機能になったとの結果が得られています。
  (文献含硫アミノ酸(Sulfur Amino Acids)6:123-127(1983))

  細菌やウィルス感染時に真っ先に働く好中球。急性感染症をひきおこす大腸菌や緑膿菌などの化膿菌に対して、
  生体防御の大部分が好中球に依存しているといわれています。外から与えられたタウリンは、この好中球内にとり
  込まれ、貪食作用および殺菌作用を増強していると考えられるのです。

  生体防衛の最前線で侵入者と闘う白血球。タウリンはこの白血球を活性塩素から守るとともに、白血球の生体防御
  機能を高めるという、きわめて重要な働きをしていたのです。   

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20.血小板とタウリン

  切り傷や擦り傷で血管が破れると、血液が外に漏れ出します。この時、血小板は傷口をすばやくふさぐ「のり」の役目
  をします。
  血小板は血液1cc中に13〜25万個あり、止血には欠かせませんが、過剰に反応すると血栓を作り過ぎ、血液の流
  れを止めて危険な状態を招くことがあります。
  この血小板の一つ一つにタウリンが高濃度に存在し、血小板の働きを正常に保つ重要な役割を担っています。

  血小板は血管が破れなくても内壁が傷ついただけで、そこに粘着し傷をふさごうとします。高血圧やタバコの吸い
  過ぎ、ストレスなどは、いたるところで血管の内壁を傷つけます。わたしたちが気がつかない所でも血小板は働いて
  いるのです。
  しかし、血管を守るはずの血小板が過剰に反応すると、血管の中に血栓を作り過ぎ、血管を詰まらせてしまうので
  す。心臓や脳の動脈で過剰な反応がおこれば、心筋梗塞や脳梗塞などの引き金になります。この血小板の過剰な
  反応を、タウリンが抑えていたのです。

  血小板のタウリン量が、血液中では白血球に次いで多く、血しょう中のタウリン濃度の250倍以上もあることから、
  その働きの重要性がうかがえます。
  血小板とタウリンの関係を示す興味深い報告があります。

  高血圧は動脈硬化を促進し、放っておくと心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす可能性があります。高血圧の人の
  血小板を調べると、正常な人に比べ血小板が過剰に反応し、血栓を作りやすいことが分かったのです。さらに高血圧
  の人は、血小板のタウリン量が極めて少ないことも分かりました。

  ところが、高血圧の人にタウリンを投与すると、血小板のタウリン量は正常になり、血小板の過剰な反応を抑え正常
  に戻すのです。タウリンが血小板の中にとり込まれ、血小板の膜を保護し、安定化させるのです。そして、血小板の
  崩壊を防ぎ、血栓を作りにくくしていると考えられるのです。
  (文献含硫アミノ酸(Sulfur Amino Acids)6:89-95(1983))   

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21.免疫力とタウリン

  現在、B型肝炎やC型肝炎にインターフェロンによる治療が行われていますが、より効果的にするために「タウリン」を
  使用する試みがなされています。インターフェロンは直接的にウィルスの増殖を抑えるのですが、タウリンはウィルス
  を駆逐する免疫力を強化するのでウィルス感染症に打ち勝つことができるのです。
  外界のバクテリアやウィルスなどの病原体が体内に侵入すると、異物として識別され病原体に対抗するための物質
  が体内で作られます。この異物を抗原、異物に対抗する物質を抗体と呼び、抗原を抗体で撃退することを抗原抗体
  反応といいます。これにより抗原に対する記憶細胞が作られ、記憶細胞ができれば同じ細菌が再び侵入してきても、
  迅速に対処を行えます。タウリンはこの抗体を作る力を促進する効果があります。
  

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Last modified 13,Jul,2006
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